福井良之助 孔版画展

『宝の地図!』が第一印象だ。イエローオーカーを基調とした作品が油紙に見える。昔の美術手帖から引用した彼の言葉が作品と共に展示されていた。最新世界のアーティストファイル100
『私は静物を描きながら人を描いている。人、誰もが持つ孤独を昇華させ焼き付けてこそ作品である。(私要約)』長く影を伸ばして横たわる果物や魚は放置され乾いている様に感じる。確かにある種の孤独の様だろう。
彼が用いた謄写版ってのは通称“ガリ版”とう孔版だが、ガリ版なんて現在の学生には行灯扱いだろうが、私が小学生の時は先生の印刷物は全てこれであった。この時代という事を考えると、似た作風の香月泰男が思い出されて、彼らが向かおうとした『美』の行方をあれこれ思索し、テクノロジーや社会情勢や他者に無関係でいられる純粋な個性なんて無いともおもった。
X∞増殖(マルティプライズ)